妊娠中に特有の病気(子宮外妊娠・重症妊娠悪阻・切迫流産・流産・子宮頚管無力症・妊娠性皮膚痒症・切迫早産・早産・妊娠中毒症)

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妊娠中に特有の病気

子宮外妊娠

かかりやすい時期 : 初期
主な症状 : 出血、下腹部痛


正常な妊娠では受精卵は子宮内膜に着床します。ところが卵管や卵巣、腹腔、子宮頚管など、子宮内膜以外に着床してしまうことが全妊娠の0.6〜1.0%くらいの割合で起こることがあり、これを子宮外妊娠といいます。
卵管に受精卵が着床しても、ここには赤ちゃんが育つためのスペースがないので流産となったり、卵管が破裂したりします。卵管破裂の場合、大量の出血を伴うため、激痛とともに血圧が低下してショック状態に陥る危険があります。


【治療&ホームケア】
妊娠したら早めに産婦人科を受診して妊娠の状態を確認しましょう。子宮外妊娠の場合、手遅れになる前に切除などの処置が行われます。子宮外妊娠で最も多い卵管妊娠の場合、一方の卵管を切除したとしても、もう一方の卵管に異常が無ければ次の妊娠をすることが出来ます。手術後、2〜3回月経があれば、次の妊娠に問題はありません。妊娠が正常に成立すれば、その後の妊娠経過や赤ちゃんにも影響はないと考えてもいいでしょう。

重症妊娠悪阻(じゅうしょうにんしんおそ)

かかりやすい時期 : 初期
主な症状 : 吐き気、嘔吐、めまい、頭痛、体重減少


つわりの症状が非常に重く、生理的な範囲を超えた病的な状態が重症妊娠悪阻です。発症率は全妊婦さんの0.5%と少数です。嘔吐を繰り返して栄養障害になり、尿中にケトン体とよばれるものが出て激しく衰弱し治療が必要になります。


【治療&ホームケア】
吐いてばかりいるので脱水症状に注意しましょう。悪化すると全身の機能が低下するので、水分補給のために、ぶとう糖液or生理食塩水orアミノ酸液を点滴して、ビタミンB群を中心とした総合ビタミン剤を併用します。通院治療も出来ますが、症状が重いときは入院することがあります。

切迫流産・流産

かかりやすい時期 : 妊娠22週未満
主な症状 : 出血、赤褐色のおりもの、下腹部痛


流産とは赤ちゃんがお母さんのお腹の外では育つことが出来ない時期(妊娠22週未満)に、妊娠が中断することをいい、全妊娠の10〜15%くらいの割合で起こります。妊娠12週未満の流産を早期流産と呼び、流産の大半はこの時期に起こります。 8〜10週にもっとも多く、赤ちゃんの染色体異常などで、受精卵が育たないことが原因とされています。妊娠が継続しているのに流産の兆候がある状態を切迫流産といいます。主な症状は出血と下腹部痛で、他には子宮内出血や自覚症状のない程度の子宮収縮などが挙げられます。


流産の種類
●切迫流産
 子宮の中で赤ちゃんは生きていますが、流産しそうな状態。
●完全流産
 赤ちゃんやその付属者がすべて子宮からはがれ、子宮外に流れ出てしまった状態。
●稽留流産
 痛みも無く、出血などの症状が無いのに、赤ちゃんが死亡して子宮内にいる状態。
●進行流産
 子宮口が開いて流産が始まった状態。お腹の痛み、ときには大出血を伴います。
●不全流産
 赤ちゃんやその付属物が一部子宮外に流れ出て、一部は子宮内に残っている状態。


【治療&ホームケア】
流産と診断されたら、古くなった組織が原因で子宮内感染を起こし、子宮炎や卵管閉鎖の原因になったりすることもあるので、早めに処置を受けましょう。その後は1〜2回の月経があれば妊娠は問題ありません。続けて3回以上の流産を繰り返すと習慣流産と考えられます。しかし原因がわかり治療を受ければ妊娠・出産は可能です。
切迫流産と診断されたら、安静にするのが1番です。安静の程度は何段階かあるので、医師の指示に従いましょう。出血が止まればそれ以降の妊娠の経過や赤ちゃんに影響が残ることも無く、普通に妊娠生活を送れます。

子宮頚管無力症

かかりやすい時期 : 中期
主な症状 : 出血、下腹部痛、破水


子宮頚管というのは、子宮から膣につながる長さ2〜3cmの管で、妊娠中は閉じて赤ちゃんを支え、分娩時は開いて産道に変わるところです。妊娠中にもかかわらず子宮頚管が緩み、子宮口が開いてしまうのが子宮頚管無力症で、全妊娠の1%くらいに見られ、流産や早産を招きます。


【治療&ホームケア】
自覚症状がないので、多くの場合は流産や早産の傾向が見られてから発覚されます。内診や超音波検査で診断がついたら、子宮頚管を特殊なテープで縛る「子宮頚管縫縮術」を行います。数日入院しますが、手術自体は簡単で、その後の日常生活も、無理をしなければ普通に過ごせます。赤ちゃんを出産してもいい時期が来たら、テープを抜きお産を待ちます。

妊娠性皮膚痒症(にんしんせいひふそうようしょう)

かかりやすい時期 : 中〜後期
主な症状 : 皮膚のかゆみ、かぶれ、発疹


妊娠中は新陳代謝が活発になるため、皮膚がかゆくなったり発疹が出やすくなります。また、赤ちゃんは免疫学的には異物なので、アレルギーを生じてかゆみが出ると考えられます。第2子以降に強く出ることもその証です。痒みに伴って発疹や水ぶくれができることもあります。


【治療&ホームケア】
かゆみは皮膚が乾燥しているときに感じやすいようです。かきむしってしまうと悪化します。できるだけかかないように、しますが我慢できないときには医師に相談して薬を処方してもらいましょう。発疹ができたら、妊娠のことを伝え皮膚科を受診しましょう。

切迫早産・早産

かかりやすい時期 : 妊娠22週〜
主な症状 : 出血、お腹の張り


早産とは妊娠22週から37週未満の間に起こる分娩のことをいい、全妊娠の5%くらいの割合で起こっています。原因は色々です。母体側の原因としては妊娠中毒症、心臓病、腎臓病、糖尿病などの合併症がある場合、子宮筋腫や子宮奇形など子宮そのものに以上がある場合、そして子宮頚管無力症や頚管裂傷などが考えられます。赤ちゃん側の原因としてはさかごや双子以上の多胎妊娠、羊水過多症などがあります。そのほか前置胎盤や常位胎盤早期剥離なども、早産の原因になります。
切迫早産は早産の恐れがあるが、安静と治療によって妊娠の継続が可能な状態をいいます。妊娠22週以降であれば、お腹から出ても育つことが可能です。しかし、早産で生まれると心臓、肺、胃腸などのあらゆる臓器が未熟であることに加え、免疫機能も未熟で感染症にかかりやすいなど、さまざまなトラブルが起こります。妊娠週数が少ないほど危険性は高くなるので、1日でも長くお腹の中にとどめることが望まれます。


【治療&ホームケア】
切迫早産と診断されたら第一に安静を心がけます。必要に応じて子宮収縮抑制薬を服用・点滴することもあります。自宅安静になるか入院治療になるかは症状によって異なります。自宅安静の場合は日常的な家事は行ってもかまいませんが、けっして無理をしてはいけません。万が一、早産が予測され個人産院などで低出生体重児を診る設備が無い場合は、赤ちゃんだけNICU(新生児集中治療室)がある病院に搬送して治療を行います。

妊娠中毒症

かかりやすい時期 : 後期
主な症状 : 高血圧、尿タンパク、むくみ


妊娠中毒症とは、高血圧・尿タンパク・浮腫(むくみ)などの症状が現れる妊娠中特有の病気です。ただし、お腹が大きくなってくると多くの妊婦さんがむくみを経験します。必ずしも妊娠中毒症特有の症状ではありません。妊娠中毒症になると欠陥が収縮して血液の循環が悪くなり、胎盤に十分な血液が流れません。そのため赤ちゃんの発育不良を招いたり、早産したり、分娩時に赤ちゃんが酸素欠乏で胎児仮死となる危険性もあります。原因はいまだに不明で、塩分の過剰摂取、子宮・胎盤の血行障害、アレルギー説、ストレス説など様々な説がありますが特定されていません。症状は主に妊娠後期から現れます。症状が軽いうちは、むくみや1週間に500g以上の体重増加などです。しかし、重症になると頭痛、めまい、目のちらつき、胃痛、吐き気などがあり、子癇(けいれん)が起こることもあります。


【治療&ホームケア】
妊娠中毒症にかかりやすいのは、次のようなタイプです。


●高血圧、腎臓病、糖尿病、甲状腺疾患などにかかっていた人
●家族が高血圧や糖尿病、腎臓病などにかかっている人
●35才以上の高年齢初産
●経産婦
●前回の妊娠で妊娠中毒症になった人
●太りすぎの人
●双子、三つ子などの多胎妊娠のとき
●ハードワークやストレス、睡眠不足など生活環境に問題がある人
●栄養に偏りがある人


妊娠中毒症の治療は、食事療法、安静、薬物療法です。家庭での食事は減塩、低カロリー、高タンパクを心がけ、カルシウムを多めにとります。症状が改善しないときは入院治療となります。ママだけではなく胎盤の検査をしたり、胎児心拍数を調べてお腹の赤ちゃんの管理もします。症状を抑えるために薬物投与も行いますが、胎児への影響を考えながら慎重に用いられます。
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